2020.04.08
「買い物」の意味が大きくかわる
コロナウイルスによる買い物行動の変化は著しいですが、それ以前に消費者は買い物に疲れています。 買い物は楽しいものと言われていたのも一昔前の話しなのかもしれませ……
公開日:2020.07.14
「サブスクリプション」「シェアリングサービス」「フリーマーケットアプリ」。数年前より、急速に世の中に浸透しているこれらのサービスの利用経験がある方も多いのではないでしょうか。
「所有から利用へ」という言葉もよく耳にするようになったり、これらのサービスが世の中に浸透し、「モノを持たない消費」が徐々に増えてきていると感じています。
先日のコラムでも「コト消費(ミレニアル世代のコト+ヒト消費)」について触れましたが、今回は「モノを持たない」ということに焦点を当ててみていきます。
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以前、テレビで以下のように話す男性のインタビューを拝見しました。
「モノを買う」=所有する、というイメージが強かったのですが、このインタビューを見て、「この男性は『モノを所有する』ことを買っているんだ」という新しい考え方にハッとした記憶があります。
流れを文字に起こすと、至極当たり前の「購入・利用」の流れのように見えます。
が、この「手放して、また新しいモノを購入する」という行為の壁を感じている方も多いのではないでしょうか。値段が高いモノなら尚更、「故障したから」「1年以上使っていないから」など、何か理由がないと「手放す」という行為に至らないというケースが多いように思います。
この壁を壊したのが、冒頭に述べた「サブスクリプション」「シェアリングサービス」「フリーマーケットアプリ」のサービスです。サブスクであれば、定額で好きなときに好きなモノを交換できる。フリーマーケットアプリであれば、今までよりも簡易的に自身のモノを売買できる。金銭的なダメージも少なく、かつ容易に先ほどの流れが実行できます。
思い返してみると、以前から身近にあるリサイクルショップや古着・古本屋などもこのような流れを形成していたように感じます。
ただ、冒頭に述べたようなサービスの台頭・インターネット環境の進化により、「『モノを所有する』ことを買う」ことが、より身近になってきているのではないでしょうか。
先日のコラムでも触れたように、「体験できる内容」への重視も、この「モノを持たない」に繋がっています。「いろいろなモノを利用する」「モノを所有することを買う」という”体験”が、特に若い世代に受け入れられているように感じます。
今回のテーマとまるで逆の言葉となりますが、好きなタイミングで手放すことができる分、同じジャンルの様々なモノを手にすることができます。
ひとつのモノに固執をすることなく、同ジャンルのいろいろなモノに触れることにより、新しい発見・好みなどに気付くことができます。また、「興味はあったけれど手が出せなかった…」というジャンルにも、「好きなタイミングで手にして、好きなタイミングで手放せる」ことから、今までよりも気軽に触れられることも可能です。
洋服のサブスクリプションを利用したり、長く使っていないものをフリマアプリで売ったりすれば、家の中に自然にスペース・ゆとりが生まれます。また新しい目的のために、スペースを有効的に使うことができます。
また、余裕ができる分「本当に必要なものがわかる」という話も聞いたことがあります。
本当に必要なモノが、不必要なモノに埋もれてしまっている。だから、欲しいタイミングで必要なモノが出てこない。「モノを持たない」生活では、本当に必要なモノだけを所持したり、「今足りないモノ」をすぐに把握したりし、生活自体にも余裕が生まれます。
消費者の求める価値も「モノの質」だけではなく、「サービスの質」へと変化します。
満足度の矛先も、「モノ」を内包した「サービス」になります。そのサービスを通じて「生活がどう変化するのか・どう便利になるのか」「通常の「モノ」の購入と比較して、どんな利点があるのか」が重要になってきます。
上記の点を上手く広められれば、今までそのジャンルの「モノ」に興味がなかった顧客にも「こういった利用方法があるんだ」「こういう暮らしができそう」などと感じてもらい、新たな取り込みも可能なのではないでしょうか。
冒頭のようなサービスも、店頭などの実店舗ではなく、インターネットで提供されていることが大半です。コラムでも以前触れた5GやVR/ARの普及により、今後更に「モノを所有」するのではなく、「利用」するような様々なサービスが展開されるのではないでしょうか。一方で、「モノ」の価値が軽視されていることもなく、むしろこのようなサービスの台頭による、「所有する価値」についても見直される機会が多くなるのでは、と推測します。
また、時代の移り変化・新規サービスの誕生、既存サービスの進化とともに、消費者の行動や考え方も大きく変化します。世の中の変化を察知しつつ、消費者の深層心理を正しく読み解くことが、今後も変わらない市場調査会社の役割です。
現在、家のサブスクもある(!)時代です。消費者目線で考えると、本当に驚きのサービスがたくさん世の中に浸透しています。今後もどのようなサービスが展開されるのか楽しみですね。
消費者は「在庫」を抱えない暮らしにシフトし、モノが売れない時代ではなく、買わない時代になります。買うモノ・借りるモノ・シェアするモノ、、、それらがどのようなカテゴリ、どのようなジャンルに広がっていくのか、注視していきましょう。
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