公開日:2020.08.19

インフルエンサーマーケティングが加速する背景

  • リサーチャーコラム

はじめに

インフルエンサーが紹介した商品やサービスがヒットにつながるなど、「インフルエンサーマーケティング」は消費者の購買行動に大きな影響を与える手法として注目され、市場規模は年々拡大しています。
今回は、「インフルエンサーマーケティング」が加速する背景についてお話しします。
 

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インフルエンサーマーケティング加速の背景

「インフルエンサーマーケティング」とは、主にSNS上で影響力を持つ「インフルエンサー」が、特定の企業の商品やサービスを紹介することで、多くの消費者の購買行動に影響を与えるマーケティング手法のことです。企業が直接消費者に情報発信する従来のマーケティング手法と異なり、インフルエンサーを介してフォロワーにアプローチする手法は、訴求効果が高いことから注目されています。

「インフルエンサーマーケティング」が加速する背景を、「共感による情報拡散力」「情報収集スタイルに合致」「多様化する消費者ニーズに対応」の3つの視点から見ていきます。
 
 

共感による情報拡散力が高い

消費者は、企業が発信する情報よりも身近な人が発信するリアルで正直な情報を重視します。
自身がフォローするインフルエンサーが熱量を持って商品・サービスを紹介すると、「この人がおススメするなら間違いない!」と、購買へのハードルが始めから低いのです。
インフルエンサーが発信する情報は、フォロワーだけに留まりません。
共感したフォロワーが拡散→そのフォロワーがさらに拡散…というように「共感」が得られれば得られるほど、多くの人に情報が拡散していきます。マス広告に比べてリーチは低いものの、価値観が近い消費者に情報が拡散していくので、ターゲット層に届きやすく、費用対効果が高いのです。
共感による情報拡散力が高い 

情報収集スタイルに合致

SNSは「人とつながる場」に加えて、「情報収集する場」としての役割が大きくなっています。
特に若者は、グーグルで検索するよりも、アプリ(SNSやECサイト等)内で検索する傾向にあり、その背景には「選ぶ時間を省略したい」「失敗したくない」「みんながいいというものを選びたい」といったニーズがあります。
SNSのタイムラインには、これまでの閲覧、投稿の傾向が分析され、関連性の高い投稿が上位に表示されますし、ECサイトのアプリは、購入履歴から興味がありそうな商品情報を通知してくれるなど、今や情報は「探す」より「受け取る」ことが当たり前になっています。AIアルゴリズムにより興味関心の高い情報が提示されるので、それらを閲覧していると、あっという間に時間が経っていたという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

情報に対して受け身であること、失敗することなく商品・サービスを効率よく選びたいという消費者の情報収集スタイルに、「インフルエンサーマーケティング」は合致していると言えます。
 
 

多様化する消費者ニーズに対応

企業のマーケティングは、消費者のライフスタイルや価値観の多様性に合わせ、「マス戦略」から「スモールマス戦略」に移行しています。インフルエンサーと言えば、フォロワー数が100万人を超えるトップインフルエンサーを思い描く方もいるかと思いますが、「マイクロインフルエンサー(1~10万人)」や「ナノインフルエンサー(~1万人)」と呼ばれるフォロワー数が小~中規模のインフルエンサーが注目されています。彼らは投稿内容に丁寧に返信するなどフォロワーとの距離が近く、信頼関係ができているので、深いアプローチが可能です。小さなコミュニティのニーズを把握し、それぞれに合った商品を提供する「スモールマス戦略」との相性がいいのです。
多様化する消費者ニーズに対応 

インフルエンサーマーケティングの今後は?

アパレル業界では、外出自粛によってリアル店舗の売上が減少する中、店舗スタッフがECサイトやSNSにスタイリング写真を投稿することでECの売り上げをアップさせたりする等、コロナ渦は、企業の情報発信力がいかに重要であるかを実感する機会となりました。インフルエンサーを積極的に採用したり、フォロワー数が人事評価の基準になるなど、インフルエンサーの存在感はますます高まっています。
小さなコミュニティの主として、フォロワーのニッチなニーズが把握できるインフルエンサーは、D2C(Direct to Consumer)やライブコマース(ライブ配信+Eコマース)との相性が良く、活躍の場が広がっていくでしょう。

消費者の価値観は多様化し、積極的に社会貢献活動を行う企業が支持されるようになっています。
「この企業の商品を使うことで、自分も社会に貢献することができる」というインセンティブは購買のきっかけとなります。インフルエンサーに企業のCSRやブランドメッセージを伝えてもらうことで、タッチポイントを増やすことにつながるため、企業理念やブランドイメージに合致したインフルエンサーを起用することが大切になります。

「インフルエンサーマーケティング」は、インフルエンサーがリアルで正直な情報を発信するからこそ共感を得るのであって、嘘っぽい、台本っぽいといった広告臭が感じられると、一気にフォロワーの支持を失います。訴求効果を最大限に発揮するには、フォロワーに響くストーリーが語れるインフルエンサーの育成も重要です。
今や「バーチャルインフルエンサー」が登場するなど、インフルエンサーは多様化しています。
InstagramやTwitterに代わる魅力的なプラットフォームが登場する可能性もあり、今後の動きに注視していきたいと思います。
 

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執筆者
宮國 美和子
株式会社アスマーク リサーチソリューショングループ
建設コンサルタント業界を経て、2015年に中途入社。新聞広告調査に携わったあと、現在は広告・メディア関連の定量調査において調査票作成~報告書作成までを担当。食品業界のテレビCM評価を担当することが多く、生きる上での基本となる「食べる」ことについて日々探求しています。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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