2020.01.14
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公開日:2021.07.16
ジョブ理論の認知度も上がり、様々なメディアでジョブという言葉を見かける様になりました。既に切り口は出尽くしてる感もあるのですが、「5分で分かるジョブ理論」と題して、基本のキ的に、5W1Hの5つの切り口でお伝えします。
「ジョブ理論とは?」に一番ストレートに答えると、「2017年8月1日に出版された故クレイトン・M・クリステンセン氏の書籍です」という答えになります。原題は「COMPETING AGAINST LUCK」で、書影にある様に”イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム”を理論として説明しています。という答えでは、皆さん肩透かしを食った様に思われるでしょうから、もう少し補足すると、自社が提供している商品やサービスではなく、顧客のジョブに着目すると、本質的に顧客が解決したい事が分かり、それを新たな方法で解決することでイノベーションが生まれるというものです。そして、ここでいうジョブはJobs to be done(顧客が解決したいこと)です。
では、なぜ今、ジョブ理論が着目されてきているかというと、イノベーションの創出が求められているからです。私たちの生活は本当に便利に快適になりました。未だこの生活が全ての人に行き届いているとは言えませんが、少なくとも日本に住む私たちの周りでは、目に見えて不便な事、不快な事を探すのは難しくなってきています。
しかし、いつの世でも、私たちが進歩を求める限りジョブは無くなりません。つまり、ビジネスがより複雑になりジョブを発見し難くなっているのです。こうした状況では、もう一度、理論に則って見つめ直してみる事が有効です。消費のメカニズムを解明し、イノベーションを予測可能にする事で、既存カテゴリー内でのスペック競争から抜け出し、ビジネスとしての成長機会、新たな事業領域を発見することに繋げられます。
ジョブ理論を使う場所は大きく2つあります。既存の商品・サービスの周りで染み出していく様なビジネスを生み出したいときは、その商品・サービスが解決しているであろう顧客のジョブの周辺を定義します。新しい領域を探索したいときは、そこで対象者となる顧客やジョブの領域を定義します。この辺りはジョブ調査を実施する際の調査設計の段階で行います。興味がある方はセミナーにご参加、もしくは担当者にお問い合わせください。
どこで使うべきか?(Where)とも関係するのですが、商品・サービス開発の初期段階、新しい事業領域の探索段階での活用が有効です。ジョブから立ち返ってビジネスを考える際には、既存の商品・サービスの今の強みは置いておくことになります。せっかくビジネスとして有望なジョブを発見できても、既存のビジネスのしがらみが強すぎると、その発見を有効に使えない懸念があります。発見したジョブからの可能性を最大化するために、価値提案の方向性の自由度がある段階、開発の初期段階や、事業領域の探索段階からの活用をお勧めします。
また、既存の強みや尖ったシーズを持っている場合に、それを活かすための事業領域の探索への適用も可能です。この辺りもジョブ調査の設計段階での議題となります。ジョブ理論活用の応用編として覚えておいてください。
この記事を読んでいるあなたです。既存顧客との接点がある営業が、顧客開拓を進めているマーケティングが、といった役割論は、ジョブの探索においてはマイナスに働く事があります。なぜなら、多くの場合、機能的組織が最も優先しているジョブは既存ビジネスの拡大だからです。まだ、既存のビジネスとして成立していないビジネスアイデアを発見するには、既存組織の役割としての行動ではなく、助けたい顧客や解決したいジョブを抱えている個人が重要なドライバーとなります。
5つの切り口と言いつつ6つ目のHowです。ジョブ理論は「顧客のやりたい事を発見する」という、とても汎用的な理論です。コミュニケーション全般にも活用可能なのですが、イノベーションを創出するという文脈ではビジネス機会を探索するための「ジョブ調査」から始めて見る事をお勧めします。「顧客がお金を払っても解決したいか?」という問いを立てる事で、ジョブの中でも切実なものを炙り出す事が出来ますし、これぞジョブ!といったものに出会える可能性があります。先ずは自分の関わるビジネスの周りでジョブの探索を始めてください。
【参考資料】
note:【知識の引き出しを増やそう!♯1】~ジョブ理論~
書籍:クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論」
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