2024.05.21
エスノグラフィー調査の概要と実践手法
現代は顧客の価値観やライフスタイルが多様化し、従来のアンケート調査やインタビュー調査では、顧客の潜在ニーズを把握することが難しい場合があります。そこで近年、注目……
公開日:2022.01.28
アンケートを実施した後、データの活用方法について困ったことはありませんか?
集計方法には、主に「単純集計(GT集計)」「クロス集計」があります。
データ(数値)を一覧表にまとめることで、「どんな回答をした人がどのくらいいるのか」を視覚的に(一目で)分かるようにする集計のこと
GTの集計方法について知りたい方はクリックしてご覧ください。
単純集計で得た数値に対して、性別・年代などを掛け合わせてその違いを読み取ることができる集計のこと
自分で集計をしようとインターネットで検索して調べたことがある方も多いと思います。
「データをまとめる」といっても様々な方法があります。まとめ方によってデータに隠された可能性をどこまで引き出せるかが変わってきます。
本稿では、単純集計(GT集計)からは読み取れなかった、質問と質問の関係性を知りたい場合に手軽に結果を見ることができるエクセルの『ピボットテーブル』という機能を使ってクロス集計をする方法を解説します。
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あなたは、上司から、 ”このデータをまとめておいて” と頼まれたことはありませんか?
ここで、クロス集計の活用例をご紹介します。
Aさんの会社では、「商品X」の売り上げが年々下降傾向にあるため、「商品X」購入者に対してどのくらい満足しているのかを知るためにアンケートを実施しました。
Aさんは満足度について聴取していたアンケート結果(データ)を「単純集計(GT集計)」しました。
その結果、「商品X」について、満足と回答した割合(満足+やや満足=「満足(計)」)は、「80%」であることが分かりました(図1赤枠)。
そこで、”「商品X」の満足度は80%でした。概ねいい評価だったと思います。” と上司に報告したところ、”じゃあ「商品X」のターゲット層である20~30代の満足度はどうだった?” と聞かれました。
Aさんは、「単純集計(GT集計)」からでは分からず、困ってしまいました。
悩んだAさんは、「ターゲット層である20~30代」の満足度をどのように調べるとよいのかを先輩に相談したところ、クロス集計のやり方を教えてもらいました。
クロス集計を行ったところ、「商品X」がターゲットとしている20代の満足度(満足+やや満足)は62%、30代は72%であることが分かりました(図2赤枠)。
一方、40~50代の満足度は90%以上と、20~30代の満足度よりも高いことも分かりました(図2緑枠)。
つまり、20~30代の評価が下がっているなか、40~50代の評価が高くなっていたことで、全体で見た時の満足度が「80%」と高くなっていたことが分かりました。
そこでAさんは、”「商品X」の満足度は全体でみると80%でしたが、ターゲットである20~30代の満足度は62%、72%と低い結果になっていますので、早急に対応が必要かと思います。…”と上司に改めて報告したところ、「やるじゃないか!」と上司に言ってもらえました。
この結果を元に、明日のミーティングで皆で今後の対策を話し合うことになりました。
このように、「20~30代」などの特定の条件ごとにターゲットを絞り、データを確認したい場合には、クロス集計をすることで解決します。質問と質問を掛け合わせることによって、質問間の関係性を細かく見ることができるのがクロス集計です。クロス集計を行うことで、見たいターゲットに絞って、”予想していた結果が出ていた、または違った結果が出た” という検証ができます。
Aさんの例でいうと、売り上げが下がっていたため、「商品X」は満足度が低くなっていると予想されていました。ですが、実際の満足度は「80%」とそこまで低いわけではなく、予想とは違う結果となりました。そこで、年代ごとに満足度を見ていくと、ターゲットとしている20~30代よりも、40~50代の評価が高くなっていました。
もし今後、調査を引き続き行った場合、「商品X」の購入者はターゲットである「20~30代」から「40~50代」がメインになってきていることが分かり、「20~30代」は月に1度程度の頻度で「商品X」を購入してくれていましたが、「40~50代」は2、3ヶ月に1度程度の頻度で「商品X」を購入している方が多いために売り上げが下がっていることが分かるかもしれません。そうすると、「20~30代」が「商品X」に対して不満に思っている点を明らかにして対策をとったり、「40~50代」の購入頻度を高めるために対策をとる といった今後の行動につながると思います。
上記は一例ではありますが、このデータってどうなっているんだろう、この人たちはどう考えているんだろうと、少しでもデータに興味や関心をお持ちになったら、データ結果を役立てるために、クロス集計までチャレンジしてみることをおすすめします。
それでは、データを集計・分析するツールである、エクセルの『ピボットテーブル』機能を使ったクロス集計のやり方を解説します。
データを保存したエクセルを開き、『挿入』タブにある『ピボットテーブル』を選択します。
『テーブルまたは範囲からのピボットテーブル』シートがポップアップされたら、集計したいデータ全体の範囲を選択します。そして、『ピボットテーブルを配置する場所を選択してください』は、お好みで『新規ワークシート』か『既存のワークシート』を選択します。選び終えたら、OKを選択します。
『ピボットテーブルのフィールド』がポップアップされたら、『フィールドリスト』(赤枠)にある[性別](単一回答)を行ボックスへ、[職種](単一回答)を列ボックスへ、[回答者No]などの適当なフィールドを値ボックスにドラッグします。
値ボックスにドラッグしたフィールド([回答者No])を選択し、ポップアップした項目にある『値フィールドの設定』を選択します。
『値フィールドの設定』シートがポップアップされたら、『集計方法』タブの集計に使用する計算の種類を『個数』に変更してください。初期設定では『合計』になっていますので、『個数』にして各選択肢の選択個数がカウントされるように設定を変更する必要があります。
これで単一回答質問(SA)同士のクロス集計が完成しました。行・列ラベルともに五十音順に表示されます。
男性は、販売・接客が2名、一般事務、営業・営業事務、経理・財務が各1名、計5名いるということが分かります。
パーセンテージを確認したい場合は、STEP5でポップアップした『値フィールドの設定』シートを再び表示し、『計算の種類』タブの計算の種類を『行集計に対する比率』に変更してください。選び終えたら、OKを選択します。
すると、パーセンテージが表示されます。
今回の集計では文字データを使っていますが、数値データでも同じSTEP(手順)でクロス集計表を作ることができます。
数値データで同じ集計をすると下記のように『行ラベル』『列ラベル』がそれぞれ選択肢番号になります。行・列ラベルは昇順に表示されます。
あとから『行ラベル』『列ラベル』を修正することもできますが、文字データだとラベルが最初から文字になっているので便利です。文字データを持っている方はそのまま集計してみましょう。
簡単ではありますが、ここまで『ピボットテーブル』を使ったクロス集計表の作り方を解説しました。
しかし、この『ピボットテーブル』という機能には最大の問題点があります。それは、複数回答質問(MA)の回答を集計するケースです。
『ピボットテーブル』は、質問間の関係性を見ることができるツールなのですが、それは”1列と1列でしか見ることができない” ということです。つまり、[性別]の質問のように、1列で意味を成す(例えば、1=男性、2=女性)質問同士の集計であれば、こちらが欲しい結果がある程度分かりやすく出てきます。
しかし、1つの質問であるにもかかわらず、複数の回答列がある複数回答質問(MA)を集計する場合、同じ質問の選択肢同士であるにもかかわらず、『ピボットテーブル』では、別の質問 という認識をしてしまうということです。
上記のように、出力された結果を読み解くのが非常に困難になってしまいます。
また、[年齢]などの数値回答データを、”20代、30代、40代、50代”など、範囲をまとめて集計するのには手間がかかります。20代だけをフィルターで選択すれば1つずつ集計していくことは可能ですが、年代ごとに一括で確認したい場合は、データ上で”20代、30代、40代、50代”と単一回答質問(SA)としてデータを事前に作成した方がよいでしょう。
ですので、複数回答質問(MA)や数値を入力してもらう質問が多いアンケートの場合は、調査会社などの専門家に任せることをおすすめします。
上記のような複雑なデータの集計は、『ピボットテーブル』ではなく、集計専門のソフトを使う方が圧倒的に効率がいいです。
また、このような煩わしい作業を専門家に任せることで、ご自分の時間を節約することもできます。そして、専門家が出した集計表を見て、ご自分でデータを分析する時間に当てた方が有効活用できると思います。
弊社では集計業務のみご依頼いただくことも可能です。
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