2021.07.16
5分で分かるジョブ理論
はじめに ジョブ理論の認知度も上がり、様々なメディアでジョブという言葉を見かける様になりました。既に切り口は出尽くしてる感もあるのですが、「5分で分かるジョブ……
公開日:2021.12.22
下記のように、選択肢で同意の程度を問うようなアンケートを見たことはありませんか?
このように、あらかじめ設定された明確な評価段階(スケール)に従って、ある特定の事物や事象を判断させる方法のことを「評定尺度法」といい、その評価段階(スケール)のことを「リッカート尺度」といいます。
リッカート尺度は、アメリカの社会学者であるレンシス・リッカートに由来しており、いまや回答者の意見・認識・行動の程度を測定する代表的な手段のひとつとなっています。
リッカート尺度では、回答者にとって明確な事実を回答するものではないので、白黒はっきり回答しづらい質問でもその程度や振れ幅を聴取することができるため、アンケートの深い考察を可能とします。多変量解析をかける場合にも多く用いられます。
リッカート尺度は、最も代表的なアンケート設計のひとつであるため、あらゆる場面で用いられています。下記に一例を記載します。
Q.この広告をご覧になって、あなたはどのように感じましたか。(それぞれ1つずつ選択)
Q.以下のブランド毎に、あなたがそのブランドをどの程度好きか教えて下さい。
Q. 【*認知企業*】のイメージについて、以下の項目毎に当てはまるものを教えて下さい。
Q.パッケージデザインをご覧になって、以下それぞれあてはまるものをお答えください。
Q.あなたは●●●を、誰かに勧めたいと思いますか。
1.是非勧めたい
2.やや勧めたい
3.どちらともいえない
4.あまり勧めたくない
5.全く勧めたくない
このように、あらゆる目的のアンケート調査でリッカート尺度が使われています。また、学術研究におけるアンケート調査の場合、数十問~数百問のリッカート尺度質問で構成される場合もよくあります。その場合は、WEBアンケートではマトリクス形式にて画面を作成し、「次へ」ボタンを減らして画面遷移を少なくするような配慮が必要となります。
リッカート尺度を採用する判断基準は、回答者の深い考察が必要かどうかであり、回答者の意見・認識・行動などの微妙な差異を知りたい、または、その回答で回答者をクラスタリングしたい場合に有効な手段となります。
前述でピックアップした例は全て5段階評価であり、また、最も使われやすい尺度も5段階です。ただし、全て5段階の尺度が適切かというと、そうではありません。では、何をもって尺度の段階数を決めれば良いのでしょうか。
5段階評価の他によく用いられるのは、3段階評価、4段階評価、7段階評価などがあります。これらは、その質問に対して、どの程度深い考察が必要かによってスケールを決めていく必要があります。
例えば、3段階評価の場合は、「そう思う/どちらともいえない/そう思わない」などの選択肢となり、回答者を3つに分けることになり、大まかな考察をしたいときに有効となります。
4段階評価の場合は、「とてもそう思う/ややそう思う/あまりそう思わない/全くそう思わない」などの選択肢となり、3段階評価より微細の考察が可能となります。また、「どちらともいえない」の選択肢がなくなることで、必ず白黒どちらかの回答に寄せることができます。
7段階評価では、選択肢の程度をさらに細かく分類するため、さらに細かく回答データを考察できます。
また、5段階や7段階など細かく選択肢を分けた後でも、「そう思う(計)」「そう思わない(計)」といったように回答をまとめることも可能なので、大まかな考察も同時に行なってもよいでしょう。
リッカート尺度を取り入れる際に注意したいのが、「どちらともいえない」の回答の扱いです。段階数が奇数の場合は、「どちらともいえない(どちらでもない)」のような中立的尺度が必ず必要となります。中立的尺度は、曖昧な回答に落ち着かせる側面もあるため、回答者の心理的な負担を軽減する一方、その選択肢に回答が集中しやすくなる可能性もあります(日本人は中立的尺度に回答が集中しやすいと言われています。)特に、質問に対し中立的という意味合いではなく、よくわからない、どちらでもいい、といった思惑で選択される可能性もあります。そうなると、本来の意図とは異なるデータとなってしまいます。
そうならないために、アンケートの構成をはじめ、意図がきちんと伝わる内容や言葉選びになっているのかどうか、回答者が回答しやすいアンケートになっているのかどうかといった視点を意識的に取り入れていくことが重要となります。
中立的尺度を設けることで、「どちらともいえない(どちらでもない)」に回答が集中しやすい側面はありますが、逆にいえば、中立的尺度を設けることでTOPBOXのスコアの意味が強く表れるともいえます。予めアウトプットをイメージし、TOPBOXのスコアをうまく活かせるような調査設計を心掛けるとよいでしょう。
回答者への負担が増えてしまうと、回答の途中離脱が起こってしまい、対象者条件を設定しているのであれば、サンプルサイズが不足する恐れに繋がってしまいます。また、回答者負担が大きいと、いい加減な回答が集まりやすくなってしまい、そもそものデータの品質にも影響を与えかねません。
回答者に立場に立ったアンケート設計が何より大切となりますので、必ず押さえるようにしましょう。
リッカート尺度の選択肢表現を下記のように変えた際、回答結果に違いは出ると思いますか?
実はこのようなリッカート尺度の表記の違いで回答データに差が生まれてしまいます。これらの考察を交え、検証した無料レポートはこちらからダウンロード可能です。
リッカート尺度という名前は知らなくても、馴染みがあったのではないでしょうか。
最適な段階数はこれだという正解はないため、その調査の目的や用途、データの見せ方などを考慮した上で、中立的尺度を設けるかどうかも含め段階数を決めるのがよいでしょう。迷ったら無難に5段階評価をおすすめします。
また、重要指標の尺度は結果データの比較がしやすいように社内で統一しておきましょう。
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