商品開発の中で生じる課題を調査で解決したい!
商品やサービスの開発に携わる方なら、マーケティングプロセスの中で、様々なタイミング、場面でいろいろな課題に直面されることがあると思います。一口にマーケティングプロセスと言っても、上市前もあれば上市後もあり、上市前の中でも「市場機会の発見」「市場規模の把握・選定」「コンセプトの開発・評価」「4Pの開発・実施」の段階があります。上市後であれば、商品・サービスを売り出したばかりの段階から、発売開始から数年が経過している段階と様々な行程があります。
お客様の商品・サービスが商品開発のどの段階にあるかによって、発生する課題やリサーチテーマは異なってきます。それらの課題を解決するために用いられるのがマーケティングリサーチです。
では、マーケティングリサーチは商品開発においてどのように用いられているのでしょうか。
こちらは、ヨーグルトを製造・販売されているメーカーを例にした調査事例です。
既存の製品で、「現状にはない、もっと違う価値を見出したい、もっと新たなポテンシャル(可能性)のヒントを得たい」というような場合の事例としてお読みください。
会社情報 | ヨーグルトを製造・販売されているメーカーQ社 |
---|---|
背景 | ヨーグルトの売れ筋商品の売上が鈍化してきたので、ヨーグルトの現状にはない新しい価値(使用用途)が見出せないか調査してみて、新市場に商機があるか確認したい。 |
調査目的 | ヨーグルトの実態を把握し、新たな市場創造のヒントを得ること |
調査課題 |
|
全体的な調査の流れとしては、まず第一にWebアンケートを行い、全体的な傾向を定量的に把握します。
次にアンケートの結果から定性調査に参加してもらう人を選定し、調査の協力を得られた方に対して日記調査を行い、実際の生活シーンの中での製品の使用シーンや目的といったことの実態を把握します。
そして、最後にインタビュー(定性調査)を行います。この事例ではグループインタビューとなっていますが、テーマなどに応じて1対1の個別インタビュー(デプスインタビュー)を行うこともあります。インタビューでは、アンケート・日記調査の結果をもとに、より内容を深堀していきます。
初めに行うWebアンケートは、調査種別でいうと「探索的調査」になります。市場や消費者の理解を深めたり、新たな仮説やアイデアのヒントを得ることを目的としています。量的なデータを取ることで、市場や対象となる消費者の全体の傾向を把握することができます。
スクリーニング設問で対象者の絞り込みを行い、絞り込んだ方たちに対して本調査設問を回答いただく流れとなります。
スクリーニング設問は、性別・年代・居住地などの属性情報を聴取します。その他に、調査を行う既存製品または競合製品の使用(喫食)頻度、自社・他社ブランドの認知やイメージを聴取し、対象者を絞り込みます。
その後の本調査設問では、より具体的な製品の使用(喫食)シーン、その時の気持ち、購入場所をはじめ、製品の新たな価値の発見につながるような項目も入れています。 調査項目の最後に「買い物に関する考え方や意識」「買い物をする際の気持ちや行動」「日常生活において優先する態度や信条」という、少し抽象的なものがありますが、クラスター判別(クラスター分析)ということを行うための設問となります。
スクリーニング(16問 ※属性9問含む)
本調査(11問)
Webアンケート結果のレポートについては、設問ごとに回答結果をグラフ化し、データから読み取れる内容をコメントとして記載しています。設問に応じた適切なグラフを用いたり、ブランドイメージや喫食・飲用シーンで使用している「コレスポンデンス分析」などの分析手法を用いてレポートを作成しています。横棒グラフでは、回答の全体的な傾向を把握することができます。性別や年代別、性年代別といった属性ごとの特徴も見ることができます。
コレスポンデンス分析は、市場におけるブランドごとのポジショニングと市場機会の発見を行う時によく用いる手法です。自社ブランドと近い位置にあるブランドや逆に離れているブランド等の把握がしやすくなります。
市場における競合とのポジションが明らかになることで、差別化の方向性を検討することもできますし、ホワイトスペースを確認して差別化ポイントのアイディアを得ることができます。
ヨーグルトにおけるブランドイメージ、喫食・飲食シーン、情緒的ベネフィットにおいてコレスポンデンス分析をかけています。
クラスター分析は、性別・年齢などによるデモグラフィック的な分類ではなく、それ以外の側面からグループ分けを行う場合に行います。消費者の商品やサービスに対する態度、ライフスタイルや普段の意識を分類することができ、商品のイメージを分析したり、潜在ニーズを探ることができます。
今回の事例のような定量アンケート回答者の中から定性調査の対象者を選ぶ場合に、できるだけいろいろなタイプの方の意見を聞きたいとすると、デモグラフィック的な情報だけでは判断ができないので、クラスター分析を行い、その結果をもとに選定することができます。1つのグループを同じような考え方をする人たちで固めることで、より意見の深堀をすることができますし、異なる考え方の人たちを同じグループにすることで新しい発見が生まれるということもあります。
クラスター分析をするために、「あなたの買い物について考え方や意識について、それぞれあてはまるものをお知らせください。」という設問をもうけ、Webアンケートの回答結果から「買い物快楽追及派」「無関心派」「買い物慎重派」の3つのタイプへ分類し、タイプごとの特長を把握できるようにしています。